あすなろの木について寄せられる
ご意見等について
~清順より大切なメッセージ~
2017.11.30

  •   現在、「めざせ!世界一のクリスマスツリーPROJECT」において使用される一本のあすなろの木を巡り、たくさんのひとが話題にし、喜怒哀楽の感情を表してくださっているなかで、一部で言われている「木がかわいそうではないか?」等を中心としたご意見などに関しまして、言葉不足、誤解がいまの状況を作っているかと思い、このタイミングできちんとお話をさせていただくことにしました。

    まず始めに、このプロジェクトに賛同し、応援くださっているみなさま、神戸市、たくさんの関係各社、そしてなにより、このあすなろの木を見つけ、応援してくださり、心から送り出してくださったたくさんの地元氷見市の方々に、ご心配ご迷惑をおかけしていることを素直に謝罪したいと思います。

    ご神木ではないんです。

      日本全国のこれだけたくさんのひとが一本の木に感情移入してくださっていることは、歴史上希有なことであり、非常にありがたく思っておりますが、一部で、あすなろの根回し工事の準備前に安全祈願のために地元の宮司さんが付けてくださった、しめ縄が「ご神木」と勘違いされるきっかけになったことなどが、SNS等を通じて流れたことでさまざまな面で間違った捉えられ方をされ、残念な状況となっています。

      まず今回運ばれたあすなろの木は、巨木の里、氷見市において約4年前に、氷見市役所と地元の森林組合の方々のご厚意により見つけていただき、ご提案いただいて採用させていただいたものであり、年間何千本という富山県の森林組合が出荷している里山のなかの一本の木であり、それがたまたま他の用途ではなく、今回のクリスマスツリーになったという事実を第一にここでお伝えさせていただきます。

      私たちは日常的にとてつもない量の木のいのちをいただいて生活しています。今回の1本(木材にして10立米未満)のあすなろの木を踏まえながら、年間約10万立米を出荷する富山県の森林組合、もしくは年間約1,100万立米を出荷する日本の森林産業を想像していただければ、日常的にどれだけの木のいのちが、私たちの知らない間に切り出され、そのいのちのおかげで恩恵を受けているかを想像できるかと思います。また、同じように樹齢150年という数字に疑問をいだいてくださった方々が、では樹齢何年までなら木材として切っても大丈夫とするのか、銘木市場や材木市場に行ったりネットで調べれば、樹齢100~200年の木々が日常的に売り買いされている現実を知ればなにを想うかなど、家具を買うときも、鉛筆を握るときも、もっと広くいえば魚を食べるときも、肉を食べるときも、共通するなにか、、、学校では教えてくれないような植物のことを感じてもらうのも、このイベントの大切な主旨のひとつです。木を切り、製紙し、本という形になってたくさんのひとに娯楽のひとときや知識を与える存在と同じように、あの一本のあすなろの木はたくさんのことを教えてくれると信じております。万が一にでも、少数の意見の風潮が残ったまま終わったなら、それは世の中が、自分たちの日常の行いそのものを否定することであり、大きな勘違いをしたことになります。だから、僕はこのタイミングで語ることにしました。

    根ごと運んだ理由。

      もちろん、材木にする前提だったにも関わらず、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーのように切った状態ではなく、あえて根を掘り出したのは、施工時の固定のし易さという、業者としての物理的な面もさることながら、木を長持ちさせ、子供たちに緑が元気な本物の木をみせたかったこと、そして、もう一つは、最近の僕の講演会に来てくださった方はすでに答えを知っているように、やはり世間のたくさんのひとが(普段植物のことを語らないひとも含めて)この一本の木が今後どのようになるかを想像したり、議論したり、心配してもらうためのきっかけとして、あえて「未定」と発表したこと、根鉢をつけたことでその想像の幅を膨らませてもらうことが、このプロジェクトの作り手として意図的にさせていただいたものであります。もともと、技術的には、北陸新幹線よりも大きなこの木を道路を走れるように小さくするため、根鉢を規定の大きさ以内に納める必要があり、これは樹木の大きさから考えて移植が難しいことは明白でした。ご紹介に預かった際は、通常の材木を切り出す以上の意味を持たせることに、努力を惜しまないことを僕は誓いました。ヒノキだったら300~400万円の値段がついたかもという大きな木ですが、あすなろだと、60~100万ほどの価値と聞きました。そのような相場感のなかで「落ちこぼれの木」というキャッチコピーも一役買ってくれたか、いま、結果的にこれだけたくさんの方々がこの木に感情移入してくださっている状況を非常にうれしく思っています。

    営利目的ではありません。そして、あすなろのその後について。

      その後の材木の活用方法については、これまで進めてきた複数の企画が依然進行中ですが、まだまだ「未定」です。 イベント後のあすなろの木について、「未定」としているにも関わらず、その使用後の枝の一部を再利用して記念品にしようとしたことが、あたかも幹も含めたすべてを記念品にすると捉えられたこと、また、その行為が営利目的の為になされているのではないかという憶測が飛び交い、記念品の企画を担当してくださったフェリシモさんにおきましては、協議の結果、一度白紙にすることを決定されたことをあわせてご報告させていただきます。
      実はその一部は、すでに地元の神社で12月1日のプレオープン時に神事の開催をご提案していただき、執り行っていただく予定の生田神社さまの敷地内にある、鎮守の森に、「鳥居」として再利用されることが決まっておりますが、まだまだそれ以外の活用方法については引き続き未定であり、また決まり次第その都度ご報告させていただきたいと思います。なお、このプロジェクトの総事業費用はおおよそ3億円、そのすべてを僕個人の資金の責任内で行っており、仮に全ての枝を記念品にして完売し、さらにはあすなろに実際に触ることのできる有料の植木鉢型巨大展望台が常時満員だったとしても僕にとっては億単位の赤字であり、決して営利目的でやっているわけでないこともこの際、重ねてお伝えさせていただければとおもいます。

    植物を扱う者として。

      机上で自然や環境、植物のことを語る人はたくさんいます。でも、これくらいのことをしなければ世界を変えることはできません。僕は、そら植物園を立ち上げ、「ひとのこころに植物を植える」をテーマに、世界中を旅し、この6年間、様々な行政機関、企業、名だたるアーティストや建築家、デザイナーと仕事をし、活動してきました。植物で世界を変えようと、大マジメに思っております。どんな時も植物を想って、汗をかき、リスクを背負い、知恵を絞り、実際に木を運ぶことでリアルに子供たちに、そして大人の方々に大切ななにかを伝えようとしてきました。そしてそれらはどこにいっても、受け入れられ、喜ばれてきました。このあすなろが点灯すれば、きっとわかっていただけると信じています。

    鎮魂、そして神戸で開催することへの想い。

      最後に。鎮魂の想いとは、震災を経験したすべての人が口にする権利があると思います。そして、その気持ちを否定する権利はだれにもないと思います。今回の場合でいうと、このプロジェクトで関わっているたくさんの神戸の関係者、そして僕自身が阪神・淡路大震災を経験したひとりであり、鎮魂の意味のこもった光の祭典・ルミナリエと並行しておこなう神戸開港150年のこのタイミングで、決意を共にしています。その想いは、このプロジェクトに奔走する関係者のみなさんなどの顔をみれば、わかってもらえると思います。

    いま、伝えたいこと。

      僕自身が一度SNSを通じて「木をみて森をみざるの類いの話」と言ったのは、口論したかったわけではありません。大好きな植物に、世間の関心がいくなら本望であり、なにより今回のプロジェクトの目的です。ぼくは、冷静です。そしてとてつもない応援者たちと膨大な数の仲間がいます。いまこのメッセージを書いている途中にも、あすなろの木のあった地域の方から「わたしたちは何があっても、みんな応援してますからね」という言葉がスタッフを通じてメールで送られてきました。寒い冬の雨のなか、あすなろを載せたトレーラーが、山から港にでるまでのすべての曲がり角で、一晩中応援をしてくださった氷見市民の方々の顔がわすれられません。あれだけの大歓送を経て地元から送り出された木だということを強く、伝えたいと思います。

    もし、あの木をみて「かわいそう 」と思ったなら、どうか、どうか その植物に対するやさしさだけは、忘れずにいてください 。そしてその気持ちをもったままぜひこれからの人生を歩んでもらいたいと思います。

    そしていま、この「声」を聞いたあと、ドアを開けて広がる現実をちゃんとみていただきたい。たくさんの姿形を変えた植物たちが待っています。モヤモヤしてたなら、身の周りを見渡せばきっと答えはあると思います。

    あすなろの木に会いにきてください。

      ここで語った部分は、このプロジェクトのほんのちっちゃい一面です。実はこれによって催し計画自体に影響がでたところは何一つありません。12月2日から26日までさまざまなたのしいイベントが目白押しです。「めざせ!世界一のクリスマスツリーPROJECT」はまちがいなくこの時代にふさわしい、ステキなイベントです。究極に普通なことを、メッセージとしてツリーとともにとどけます。クリスマスはもうすぐです。ぜひこの機にキラキラしたあすなろの木に会いにきてください。そしてみなさんには、今年もいい気持ちで年を越してもらいたいと心から願っています。

    西畠 清順  拝

あすなろの木について寄せられるご意見等について
~清順より大切なメッセージ~
2017.11.30

  •   現在、「めざせ!世界一のクリスマスツリーPROJECT」において使用される一本のあすなろの木を巡り、たくさんのひとが話題にし、喜怒哀楽の感情を表してくださっているなかで、一部で言われている「木がかわいそうではないか?」等を中心としたご意見などに関しまして、言葉不足、誤解がいまの状況を作っているかと思い、このタイミングできちんとお話をさせていただくことにしました。

    まず始めに、このプロジェクトに賛同し、応援くださっているみなさま、神戸市、たくさんの関係各社、そしてなにより、このあすなろの木を見つけ、応援してくださり、心から送り出してくださったたくさんの地元氷見市の方々に、ご心配ご迷惑をおかけしていることを素直に謝罪したいと思います。

    ご神木ではないんです。

      日本全国のこれだけたくさんのひとが一本の木に感情移入してくださっていることは、歴史上希有なことであり、非常にありがたく思っておりますが、一部で、あすなろの根回し工事の準備前に安全祈願のために地元の宮司さんが付けてくださった、しめ縄が「ご神木」と勘違いされるきっかけになったことなどが、SNS等を通じて流れたことでさまざまな面で間違った捉えられ方をされ、残念な状況となっています。

      まず今回運ばれたあすなろの木は、巨木の里、氷見市において約4年前に、氷見市役所と地元の森林組合の方々のご厚意により見つけていただき、ご提案いただいて採用させていただいたものであり、年間何千本という富山県の森林組合が出荷している里山のなかの一本の木であり、それがたまたま他の用途ではなく、今回のクリスマスツリーになったという事実を第一にここでお伝えさせていただきます。

      私たちは日常的にとてつもない量の木のいのちをいただいて生活しています。今回の1本(木材にして10立米未満)のあすなろの木を踏まえながら、年間約10万立米を出荷する富山県の森林組合、もしくは年間約1,100万立米を出荷する日本の森林産業を想像していただければ、日常的にどれだけの木のいのちが、私たちの知らない間に切り出され、そのいのちのおかげで恩恵を受けているかを想像できるかと思います。また、同じように樹齢150年という数字に疑問をいだいてくださった方々が、では樹齢何年までなら木材として切っても大丈夫とするのか、銘木市場や材木市場に行ったりネットで調べれば、樹齢100~200年の木々が日常的に売り買いされている現実を知ればなにを想うかなど、家具を買うときも、鉛筆を握るときも、もっと広くいえば魚を食べるときも、肉を食べるときも、共通するなにか、、、学校では教えてくれないような植物のことを感じてもらうのも、このイベントの大切な主旨のひとつです。木を切り、製紙し、本という形になってたくさんのひとに娯楽のひとときや知識を与える存在と同じように、あの一本のあすなろの木はたくさんのことを教えてくれると信じております。万が一にでも、少数の意見の風潮が残ったまま終わったなら、それは世の中が、自分たちの日常の行いそのものを否定することであり、大きな勘違いをしたことになります。だから、僕はこのタイミングで語ることにしました。

    根ごと運んだ理由。

      もちろん、材木にする前提だったにも関わらず、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーのように切った状態ではなく、あえて根を掘り出したのは、施工時の固定のし易さという、業者としての物理的な面もさることながら、木を長持ちさせ、子供たちに緑が元気な本物の木をみせたかったこと、そして、もう一つは、最近の僕の講演会に来てくださった方はすでに答えを知っているように、やはり世間のたくさんのひとが(普段植物のことを語らないひとも含めて)この一本の木が今後どのようになるかを想像したり、議論したり、心配してもらうためのきっかけとして、あえて「未定」と発表したこと、根鉢をつけたことでその想像の幅を膨らませてもらうことが、このプロジェクトの作り手として意図的にさせていただいたものであります。もともと、技術的には、北陸新幹線よりも大きなこの木を道路を走れるように小さくするため、根鉢を規定の大きさ以内に納める必要があり、これは樹木の大きさから考えて移植が難しいことは明白でした。ご紹介に預かった際は、通常の材木を切り出す以上の意味を持たせることに、努力を惜しまないことを僕は誓いました。ヒノキだったら300~400万円の値段がついたかもという大きな木ですが、あすなろだと、60~100万ほどの価値と聞きました。そのような相場感のなかで「落ちこぼれの木」というキャッチコピーも一役買ってくれたか、いま、結果的にこれだけたくさんの方々がこの木に感情移入してくださっている状況を非常にうれしく思っています。

    営利目的ではありません。そして、あすなろのその後について。

      その後の材木の活用方法については、これまで進めてきた複数の企画が依然進行中ですが、まだまだ「未定」です。 イベント後のあすなろの木について、「未定」としているにも関わらず、その使用後の枝の一部を再利用して記念品にしようとしたことが、あたかも幹も含めたすべてを記念品にすると捉えられたこと、また、その行為が営利目的の為になされているのではないかという憶測が飛び交い、記念品の企画を担当してくださったフェリシモさんにおきましては、協議の結果、一度白紙にすることを決定されたことをあわせてご報告させていただきます。
      実はその一部は、すでに地元の神社で12月1日のプレオープン時に神事の開催をご提案していただき、執り行っていただく予定の生田神社さまの敷地内にある、鎮守の森に、「鳥居」として再利用されることが決まっておりますが、まだまだそれ以外の活用方法については引き続き未定であり、また決まり次第その都度ご報告させていただきたいと思います。なお、このプロジェクトの総事業費用はおおよそ3億円、そのすべてを僕個人の資金の責任内で行っており、仮に全ての枝を記念品にして完売し、さらにはあすなろに実際に触ることのできる有料の植木鉢型巨大展望台が常時満員だったとしても僕にとっては億単位の赤字であり、決して営利目的でやっているわけでないこともこの際、重ねてお伝えさせていただければとおもいます。

    植物を扱う者として。

      机上で自然や環境、植物のことを語る人はたくさんいます。でも、これくらいのことをしなければ世界を変えることはできません。僕は、そら植物園を立ち上げ、「ひとのこころに植物を植える」をテーマに、世界中を旅し、この6年間、様々な行政機関、企業、名だたるアーティストや建築家、デザイナーと仕事をし、活動してきました。植物で世界を変えようと、大マジメに思っております。どんな時も植物を想って、汗をかき、リスクを背負い、知恵を絞り、実際に木を運ぶことでリアルに子供たちに、そして大人の方々に大切ななにかを伝えようとしてきました。そしてそれらはどこにいっても、受け入れられ、喜ばれてきました。このあすなろが点灯すれば、きっとわかっていただけると信じています。

    鎮魂、そして神戸で開催することへの想い。

      最後に。鎮魂の想いとは、震災を経験したすべての人が口にする権利があると思います。そして、その気持ちを否定する権利はだれにもないと思います。今回の場合でいうと、このプロジェクトで関わっているたくさんの神戸の関係者、そして僕自身が阪神・淡路大震災を経験したひとりであり、鎮魂の意味のこもった光の祭典・ルミナリエと並行しておこなう神戸開港150年のこのタイミングで、決意を共にしています。その想いは、このプロジェクトに奔走する関係者のみなさんなどの顔をみれば、わかってもらえると思います。

    いま、伝えたいこと。

      僕自身が一度SNSを通じて「木をみて森をみざるの類いの話」と言ったのは、口論したかったわけではありません。大好きな植物に、世間の関心がいくなら本望であり、なにより今回のプロジェクトの目的です。ぼくは、冷静です。そしてとてつもない応援者たちと膨大な数の仲間がいます。いまこのメッセージを書いている途中にも、あすなろの木のあった地域の方から「わたしたちは何があっても、みんな応援してますからね」という言葉がスタッフを通じてメールで送られてきました。寒い冬の雨のなか、あすなろを載せたトレーラーが、山から港にでるまでのすべての曲がり角で、一晩中応援をしてくださった氷見市民の方々の顔がわすれられません。あれだけの大歓送を経て地元から送り出された木だということを強く、伝えたいと思います。

    もし、あの木をみて「かわいそう 」と思ったなら、どうか、どうか その植物に対するやさしさだけは、忘れずにいてください 。そしてその気持ちをもったままぜひこれからの人生を歩んでもらいたいと思います。

    そしていま、この「声」を聞いたあと、ドアを開けて広がる現実をちゃんとみていただきたい。たくさんの姿形を変えた植物たちが待っています。モヤモヤしてたなら、身の周りを見渡せばきっと答えはあると思います。

    あすなろの木に会いにきてください。

      ここで語った部分は、このプロジェクトのほんのちっちゃい一面です。実はこれによって催し計画自体に影響がでたところは何一つありません。12月2日から26日までさまざまなたのしいイベントが目白押しです。「めざせ!世界一のクリスマスツリーPROJECT」はまちがいなくこの時代にふさわしい、ステキなイベントです。究極に普通なことを、メッセージとしてツリーとともにとどけます。クリスマスはもうすぐです。ぜひこの機にキラキラしたあすなろの木に会いにきてください。そしてみなさんには、今年もいい気持ちで年を越してもらいたいと心から願っています。

    西畠 清順  拝